川内鴻輝(50kmマラソンランナー)が走り続けるワケvol.2「どうしても世界の舞台に立ちたい」

物心付いた時から走り始めているマラソンランナー川内鴻輝氏(25歳)。ロンドン世界陸上男子フルマラソンに日本代表選手として出場した、あの川内優輝氏(30歳)の弟となる。

 

鴻輝氏は50kmマラソンランナーとして世界選手権を目指す傍ら、株式会社K・Kスポーツの経営者でもあり、多忙な日々を送っている。今回は、鴻輝氏に走り続ける理由などについて熱く語っていただいた。

 

<vol.1は、こちらから。>

 

 

――いつから走り始めましたか。

川内:2歳の時と言われてまして、物心付いた時には走っていましたね。母親が凄く熱心でして、例えるなら巨人の星の星一徹女性版のようでした。

 

毎日タイムトライアルをやっていましたよ。毎日全力疾走し、タイムを更新できないと罰ゲームがあったんですよ。

 

 

――罰ゲームは、どんなことをしましたか。

川内:公園を全力で1周させられましたね。小学生の頃から兄貴(川内優輝氏)は、ぶっ倒れてました(笑)。母の車の近くで横になっていると、「そんな所で寝てたら車が汚れるでしょ!」とよく叱られていて、「子供の心配じゃなくて、車の心配かよ!」って思っていました(笑)。

 

兄がそのような指導を受けているので、次男、そして自分(3男)も自然と走るようになっていました(笑)。

 

 

――凄まじい家族ですね。

川内:小学生になると毎日地獄でした。家から練習場所までの5kmを母の車に乗って行き、3、4km位のタイムトライアルをやります。罰ゲームがあるのでタイムを更新しないと公園に置いていかれるんですよ。公園から家まで走って帰ることもありました(笑)。 

 

 

――辛くなかったですか。

川内:毎日のタイムトライアルは小学生の時までやっていました。走らないとこの家族では生きていけなく、家にはいられないので仕方なかったですよ。

 

中学になると全力で走る日もあれば、ジョギングだけの日もあり、練習方法もペース走、ビルドアップ、インターバルだとか色々あって、走ることの本当の楽しさを知るようになりました。兄貴達とは、互いに部活がない休みの日に走るくらいでした。

 

 

――花咲徳栄高校に進学したのですね。

川内:今年の夏に全国高校野球で優勝した花咲徳栄高校の駅伝部に入りましたが、故障が多かったんですよ。高1までは記録が良かったんですが、身長が160cmから180cmまで伸びまして、1年半位、成長痛で走れなくなりました。大学は第一志望ではないですが、高崎経済大学に進学しました。

 

 

――それから、どうされましたか。

川内:フルマラソンに挑戦するようになりましたが、記録が2時間21分台と大したことなかったですよ。どうしても世界の舞台に立ちたいので、距離を伸ばして50kmの世界大会に出るためのトレーニングを行っています。

 

フルマラソンに強いアフリカ系選手も、賞金が少ないウルトラマラソンには進出しない傾向にあり、距離が42㎞を超えるとスタミナ切れを起こすと聞きました。以上のことから、50kmは自分の実力を発揮できる分野だと思っています。

 

次男が100kmを専門で走っていて3回ほど優勝してます。私も一度100kmを走っていますが、次男には敵いません。

 

 

――それだけ走っていると怪我はしませんか。

川内:高校、大学で膝と甲の疲労骨折を5,6回やりました。練習メニューをきちんと組み立てて、やる時はやって抜く時は抜くようにしないと故障に繋がります。 

 

明日は50km走るんですけど、やらない日は60分ジョグで終わりにしちゃいます。メリハリを意識しています。

 

 

――やらない日でも、それだけ走るんですね。筋トレをやりますか。

川内:体幹トレーニングを走る前に少しやり、走っている時に本来使うべき筋肉を使うことを意識付けをするようにしています。

 

 

――食事はどうしていますか。

川内:練習を頑張る人は多いけど、栄養、休養を疎かにする人が多いですよ。栄養と休養により疲労の超回復が可能となります。ただ練習するだけだと筋肉と関節が壊れてしまうので注意する必要があります。

 

アスリートフードマイスターの勉強をして資格を取得しました。食事の際に、常に五大栄養素の①炭水化物②たんぱく質③脂質④ビタミン⑤ミネラルを摂るように習慣付けると、体調を崩さなくなり回復も速くなっています。速く走るための能力をいかに生かすかが重要ではないかと思っています。

 

 

――50㎞走る前に何を食べますか。

川内:試合前でない場合には、脂肪を消費させたいのでそんなに食べません。人間の体内にエネルギーがない場合には、脂質をエネルギーとして使うことになります。

 

ダイエットをするにはエネルギーがない朝に走った方が効果的です。脂質を使うエネルギー回路を構築したいので、なるべくがつがつ食べないで脂肪を使える身体にしたいです。

 

 

――走った後の食事は重要ですよね。

川内:走り終えてから5分以内にサプリメントを摂ります。きちんとした食事は、成長ホルモンが分泌されていて栄養も吸収されやすい30分以内に済ませるようにしています。特に、たんぱく質と炭水化物をなるべく早く食べるようにしています。栄養を摂るまでが練習であると考えるようにしています。

 

 

――身体のケアをどうしていますか。

川内:自分でストレッチとマッサージを行います。2週間に1回は腰などを治療しに接骨院に通ってもいます。

 

 

――睡眠時間を確保できていますか。

川内:かなり激しいトレーニングをした日は8時間30分位寝ますし、普段は7時間30分位となります。きちんと眠れば身体が回復しますから。

 

 

――お酒を飲みますか。

川内:付き合い程度で軽く飲みます。ストレス発散や気分転換となり、走ることへのモチベーションにもなるみたいですし。

 

 

 

 

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【著者・写真】
佐久間秀実

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